国連の最新のレポートによると、ロシアでは過去16年間に人口が約1200万人減少し、このまま推移すると08年現在の人口1億4200万人が、2050年には約2600万人減の1億1600万人になると予測している。2009年5月29日、中国紙「広州日報」は、金融危機の影響によってロシアで堕胎率が急上昇し、90年代以降人口減少問題を抱えてきた同国の状況が一層深刻化していると伝えた。
1993年以降、人口のマイナス成長が続いているロシアでは、PRや政府の積極的な出産奨励政策などによって07年の出生率が8%に達し、過去25年で最高を記録した。また08年も6%と引き続き高い出生率を維持した。しかしここに来て、金融危機による経済的な理由から堕胎率が急上昇している。
モスクワのある病院では、堕胎率が10〜12%になると予測しており、そのほとんどが経済的な理由によるものだという。一方、ロシア連邦国家統計局(Rosstat)では「不況時には幼い子供を抱えた女性や妊婦が解雇や失業の影響を最も受けやすい」としており、ある専門家は「経済的な理由で多くの夫婦が子作りの計画を延期したり、中には仕事を確保するために堕胎するケースさえある」とコメントし、問題の深刻さを指摘している。
また、あるカウンセラー組織では、最近の大きな特徴として、法で認められている堕胎可能期間(妊娠12週以内)を超えてからの堕胎相談や、負債の支払能力がないため堕胎したいという相談が急増していることを挙げている。